2005年06月13日

【重要業務連絡】blogサイトの移行を行います

本blog読者の皆様へ

ITMediaがblogサイト「オルターナティブ・ブログ」を立ち上げるにあたって、私もお誘いを受けました。
せっかくの機会なので参加させていただくことになりました。
blogタイトルは「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」(ベタ ^^;)です。
2つのblog維持していくのは大変なので、このblogはフェードアウトして、ITMedia側に一本化していきます(内容的には今までと変えるつもりはありません)。

移行プロセスはこんな感じです。

今:
このblogは更新終了。コメント、トラックバックは一応受け付けます(ただし、トラックバックは後にリンク切れになりますのでご注意ください。)

6月~7月: このblogのアーカイブの一部を段階的に新blogに移行します。移行完了後にドメインkurikiyo.comを新blogのアドレスに設定する予定です。

11月: このblogのサーバのレンタル契約が切れますので、このblogは物理的に消滅することになります。

追加情報(05/10/01):↑と思っていましたが、たいした料金でもないですし、依然として結構なアクセスがあるので、このblogも現状のまま更新なしで残しておくことにしました。

しばらくはちょっとめんどう(特にサーチエンジン経由で入ってきた人にとっては)ですが、よろしくお願いします。

新blogでもぜひ、閲覧、コメント、トラックバックをよろしくお願いします。<m(_)m>

09:00 | 固定リンク | コメント (3) | [業務連絡]

2005年06月12日

明日の朝一に重要業務連絡を行います

もったいぶってすみませんが、他者との関係がある話なので、明日朝一に情報解禁です。
刮目して待て(ってほどでもないですけどね)^^;

17:51 | 固定リンク | コメント (0) | [業務連絡]

2005年06月11日

特許制度は良い方向に向かっているのか

松下vsジャストの時にもさんざん書いたように、現行の特許制度がITの時代に合わなくなっているのは確かです。
特にソフトウェア特許関連はいろいろと問題が多いところです。
とは言え、ソフトウェア特許なんてやめちゃえというのは暴論に近いと個人的には思っていて、如何にして特許制度の枠組みの中で制度や運用を時代に適合できるように変えていくかを考えるべきだと思ってます。

で、当然ながら、やや遅きに逸したとは言え、特許制度の改正の動きがいろいろと進んでます。

米国のケースですと、
1.異議申立制度の採用
2.先発明主義から先願主義への移行
あたりが進行中のようです(参照記事)。

1.については、どう考えても特許に値しない発明が特許化されてしまった時は、権利行使の前に、裁判するまでもなく無効にする手段を設けようということで、当たり前のことですね。
2.については、世界中で先願主義(一番最初に出願した人を優先)を採用してないのは米国だけだったのでまあ当然の動きです。
先発明主義は一見公平に見えても、権利が確定した後で、「いやー実は同じ発明をオレが先にしてたんだよー」と言う人が後から出てきたりして、実務上は非常に問題が多かったのです。

また、日本では知的財産侵害の刑事罰の罰則の強化(5年以下の懲役→10年以下の懲役)が検討されています(参照記事)。
5年が10年になっても抑止力としてはそんなに変わらないかもしれませんが、まあ、窃盗罪と同等にしておくというのは意味があることだと思います。

また、ソフトウェア特許の乱用を抑えるための指針をMETIが策定予定です(参照記事)。
「一部の企業がソフト開発に不可欠な基盤技術の特許を独占し、他の企業の技術開発を不当に妨げることを防ぐ」ことを目的としているようで、ぜひこれは実現してもらいたいものです。
産業の発達を阻害しないことが担保されれば、ソフトウェア特許自体は決して悪ではないと思います。

19:58 | 固定リンク | コメント (2) | [知財]

2005年06月10日

GPL 3の確定は2007年

本日はOSDLの記者会見に行って来ました。
FSFの顧問でもあり、弁護士にしてコロンビア大学教授であるEben Moglen氏のお話が目当て。

セミナーではなく、記者会見なのでそれほど詳しい話はなかったですが、興味深かったのは現在改定作業中のGPLの時期版GPL 3の最終確定版の予定が2007年初頭ということ。
一瞬、2006年のいい間違いかと思いましたがそうではありませんでした。
2006年まる1年をかけて検討を重ねていくようです。
改定には法律(しかもやっかいな特許法等)がからむことですし、今後長期にわたって重要となることなので、時間をかけて検討しなければいけないのは確かですが、約2年(ドッグイヤー換算14年)というのはちょっとかかり過ぎな気が。

あと、Moglen氏は、現行の特許制度についてあくまでも私見であるとしながら、「ソフトウェア開発の世界とはミスマッチである。」「特許権者の権利が強力すぎ、長期にわたりすぎる。」と発言しました。
ちょっとでも今のソフトウェアビジネスの世界に身を置いた法律専門家であれば、誰でもそう考えるでしょうね。

15:02 | 固定リンク | コメント (0) | [総論]

Sunは貯金の使い方を間違えた?

ちょっと前の話ですが、SunのStoregeTek買収に関する記事「StorageTekの光に目がくらんだSun アナリストらは買収に批判的

Sunの業績はここのところ芳しくないですが、キャッシュは結構ありました。
家計は苦しいし、給料は上がらないけれど貯金はそこそこあるという状況です。
こうなると、うまく企業買収をして将来の成長に結びつけることが不可避であって、今年、Sunが大規模な企業買収をすると言うのは、業界の噂としてもありましたし、幹部も自ら認めていたことであったわけです。

で、買収したのがStorgeTek。
あまりなじみはないかもしれませんが、エンタープライズ・ストレージ市場では、EMC、日立、HP、IBMに次ぐベンダーです。
特にハイエンド・テープなどのセグメントではかなり強いベンダーです。
StorageTekのように業績は比較的好調だし顧客ベースもあるが、成長率が低いため株価が低迷している企業を買って成長路線に乗せると言うのは、M&Aの鉄則ですが、どうなんでしょうか、この場合は。

企業買収に関しては、Sunはうまく行った時と行ってない時の差が極端です。
Crayのビジネス・コンピュータ部門の買収はきわめて成功したE10000サーバを産み出し、2000年ころのSunの記録的好業績の結びつきました。
一方、Cobalt社に関しては、金をドブに捨てたような結果となりました。

M&Aを成功させるために重要な要素は企業カルチャーの融合の問題があります。
企業カルチャーと言う点では、Sunは結構「濃い」のでうまく行く時と行かない時の差が激しいのではと思います。
StorageTek社は米東海岸ベースですし、どっちかというとIBMメインフレームショップのユーザー等に堅実な営業をしてきて成長してきた会社であり、企業カルチャーの点ではSunと対極にあると言えます。
とは言え、Sunと似たカルチャーであろうと思われるCobalt社の買収が失敗したことを考えると、意外とタイプが違う企業の買収の方がカルチャークラッシュは小さくてすむのかもしれません。

もうひとつの懸念は、ストレージハードウェア市場もサーバ市場と同じように急速にコモディティ化が進行しつつあることです。
もう、ハードでの差別化はかなり困難な時期に来ており、大手ベンダーは、管理ソフトで差別化する戦略を取って来ています。
Sunがストレージを重要視するのは当然なのですが、どっちかというとストレージ管理ソフトウェア・ベンダーを狙うべきだったのではと思うわけです。
別のM&A計画が進行中であるとも思われますが、Sunももうキャッシュによる大規模なM&Aは困難な状況に来てますので、大手のストレージ管理ベンダーの買収も難しいでしょう。

こう思うのは私だけではないようで、買収の発表依頼Sunの株価も低下気味で、この状況を挽回するためには相当強力な戦略が必要と思うわけです。

09:32 | 固定リンク | コメント (0) | [総論]

2005年06月09日

Googleの株価はどれくらいバブル入ってるんでしょうか?

Googleの時価総額がメディア企業としては最大(Time Warnerとほぼ同等、Disneyの倍近く)になったという記事

企業価値を時価総額だけで評価するのは危険(Linuxディストリビュータの時価総額などはIPO当時の100分の1近くなってますし)ではありますが、やはりエポックメーキングなことではあります。

物を所有するより、その物に関する情報を所有した方が儲かる」という話を読んだことがあります(またしても、出典を失念 ^_^;)。
たとえば、原油を買って転売して儲けるよりも、同じ金で原油価格のオプションに投資したほうが儲かるというロジックです(ちょっと突っ込みどころ満載ですが)。

同じ流れで、「情報(コンテンツ)を所有するより、その情報に関する情報を所有した方が儲かる」と言えるかもしれませんね。

そういえば今や「古典」とも呼べるネグロポンテ氏の「ビーイング・デジタル」には、「雑誌のテレビガイドを発行している会社の収益はどのテレビ局よりも上」という話が書いてあった記憶があります(今はネットがあるから状況は違うかもしれませんが、基本的には同じことを言ってますよね)。

20:10 | 固定リンク | コメント (3) | [総論]

2005年06月07日

【雑談】どうなるんでしょうか?Macの今後

#Mac関連は専門で見てるわけではないので雑談モードです。

ここで改めて言うまでもなく、事前の噂どおりの発表が行われたわけです(参考記事)。
そういった意味では特にサプライズはなかったですね。
どうでも良い話ですが、上の参考記事では「Mac OS Xには秘密の人生がある。」となっているジョブズの発言は、米Cnetの記事では"Mac OS X has been leading a secret double life the past five years."、つまり、「過去5年間OS Xは密かに二重生活を送ってきた」ということで、世間では正妻(PowerPC)とアツアツに見せておいて、裏では愛人(Pentium)との関係を深めていたと言うことですね。あいかわらず、面白い言い回し>ジョブズ

個人的には、せめてAMDにして、Intelとの競争原理を働かせてほしかったですね。

さて、今後はどうなっていくかということですが、結構、アプリケーションの移行は大変でしょうね。
バイト・オーダーの問題もありますし。
また、これで実質上OS 9以前のOSでは新しいハードのサポートはなしということになります(PowerPC搭載機の中古市場が盛り上がる?)

最大の疑問は、Pentium MacがPC互換機的になっていくのか、それとも、Appleの独自性を残していくのか(たとえば、OSの一部ROM化をやってしまうのか)?
Macがハード的にPC互換機と同等になれば、Appleは単にデザインが良いPC互換機ということになってしまいますね(実質上ハード撤退とも言えます)。
まあ、こうなると同一マシン上でデュアルブートもできるし、VMWareでMac OSとWindows同時稼動なんかも可能になって、それはそれで楽しいかもしれません。
元麻布春男さんは取材記事でこのシナリオを予測していて、OSの世界でWindowとダイレクトに競争するこを期待しているようです。
まあ、スティーブ・ジョブズがハードの独自性をなくすような戦略をとるのかは甚だ疑問ですが、長い目で見れば、これがユーザーのためにもAppleのためにも良いかもしれません。

#ぜんぜん話変わりますが、唐沢なをき氏は今頃ネタ考えるのに大変でしょうね。

10:35 | 固定リンク | コメント (7) | [雑談]

2005年06月06日

「セシルマクビー事件」:やはり商標法は大企業重視

最近、商標の話ばっかり書いてますが、商標に関する事件は内容的に生々しいのが多くてネタとして書きやすいんですよね。^_^;

さて、みなさん「セシル・マクビー」というと何を想い浮かべるるでしょうか?
普通は若い女性向けのファッション・ブランドでしょうね。
ところが、ちょっとでもジャズに詳しい人は黒人のベテランジャズベース奏者を思い浮かべるでしょう。
1950年代から活躍し、エルビンジョーンズなど大御所ともやってますし、山下洋輔氏のピアノトリオで来日ツアーもしてる人です。
超有名とまでは言いませんが、有名なジャズミュージシャンと言ってよいでしょう。
私も個人的に大好きなベーシストの一人です。

なので、初めてファッションブランドの「セシルマクビー」の看板を見た時は、「同姓同名のデザイナーでもいるのだろうか?そんなにありふれた名前でもないのに?」と思っていたのですが、このブランドを使ってる会社は純然たる日本の会社で「セシルマクビー」という名前を適当に選んで付けたようです(判決文ではこの辺の事情がぼかされているのですが、たぶん、代理店の人がたまたま見かけたレコードかポスターなどから何となく「おしゃれな響きの名前だなー」ということで選んだのではないかと想像します。)

で、ジャズ・ミュージシャンの方のセシル・マクビー氏は、このファッション会社の商標権の無効審判を請求しました。
請求理由は、ホリエモンの話のときにも出てきた商標法4条1項8号です。
今回は条文の読み方がポイントとなるのでちょっとややこしいですが略さずに書きますと「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く)」は商標登録しないということです。
今回の話に関係あるところだけ整理すると、
1.他人の氏名
2.他人の著名な略称
は商標登録しないということです。
たとえば、「キムタク」は明らかに2なので、 木村拓哉氏の承諾がなければ商標登録されません(当たり前)。

で、セシル・マクビーの件ですが、裁判所の見解は、
a.セシル・マクビーは本名ではない。同氏の本名はミドルネームを入れたセシル・リロイ・マクビーである。
b.ゆえに、「セシル・マクビー」は「セシル・リロイ・マクビー」氏の略称である。
c.「セシル・マクビー」という略称はジャズの世界では有名かもしれないが、それを超えて著名とは言えない。
なので、上記の1にも2にもあたらないということで、セシル・マクビー氏の訴えはすべて却下されました。

うーんどうなんでしょうね。
「ジョージ・ブッシュはアメリカ大統領の本名はではなくその略称である。」
というのは結構違和感がある判断ではと思うのですが(何か前例がある判断なのでしょうか?)。

まあ、何回も繰り返しているように、商標法は業界秩序維持が最優先なので、こういう個人の訴えを認めていたら切りがなくなるという判断が最初にあったのは否めないでしょうね。

ところで、ベーシストのセシル・マクビー氏なんですが、プレーはかなり黒っぽいですし、ルックスも濃い(写真参照)ですし、おしゃれなファッション・ブランドとはぜんぜんイメージが違うので、自分は(ジャズ好きな人はみんなそうだと思いますが)このブランドの宣伝見るたびに違和感を感じてしまうんですね。
mcbee2.jpg

14:00 | 固定リンク | コメント (8) | [知財]